M1エイブラムスは、米陸軍と海兵隊が装備する主力戦車。陸軍は1980年から使用を始めたが、海兵隊は改良型M1A1型を1990年に受領し、翌年の湾岸戦争が初陣となった。120ミリ滑腔砲を備えたM1A1は、イラク軍戦車隊相手にその能力を遺憾なく発揮し、「世界最強の戦車」と呼ばれるようになった。海兵隊の戦車はその後、データリンク能力などに改良を加えたM1A2型に順次更新されているが、特に対ゲリラ戦では戦車に不向きな市街地などで苦戦を強いられている。

 対戦車戦で「世界最強」のM1戦車も、ゲリラを相手にした非正規戦闘ではその強みである主砲の威力や精密射撃能力を生かすことができない。むしろ仕掛け爆弾(IED)や携帯型ロケット発射機などで至近距離から装甲の薄い部分を狙われ、大きな被害を出している。ただ、生身の歩兵は、戦車の直接火力支援がなければ機動的に動けない。そこでイラクの市街地で戦うM1戦車には増加装甲や至近距離の敵に対応できる「市街戦キット」を装着し、損害の拡大を防いだ。

 M1A2は、全長9.83メートル、全幅3.66メートル、全高2.89メートル、戦闘重量63.1トン。高出力のガスタービンエンジンを搭載したため加速力や登坂力は大きいものの、燃費が異常に悪く、燃料1リットル当たり200メートル強しか走れない。米国は当初、M1シリーズを2020年には退役させる考えで、後継となる小型軽量のハイテク戦車を開発していた。しかし、小型軽量戦車は対ゲリラ戦に耐えられないとして計画をキャンセルし、M1戦車を改修して使い続けることになった。なお、米国海兵隊は1個師団に1個戦車大隊を配置するのが標準だが、現在のところ在日海兵隊に所属する戦車部隊はない。